ロンドンで紅茶を飲むとき。水道水とスーパーで買った茶葉を使って紅茶を入れると、硬水の成分と茶葉の成分によってもれなく紅茶の表面にアレ(膜のようなもの)が浮かぶんです。
紅茶に浮かぶこれってなんだろう?
時差ぼけが治らない状態でロンドン生活を始めて、2、3日したある日。
紅茶に浮かぶ、「それ」を初めて見た時のお話です。
紅茶に浮かぶ謎の膜・・・
ある日のこと。
気にしなければ、気にならないまま飲めてしまっていたかもしれないのに・・・
お茶を見てふと、気づいてしまったのです。
あれ・・・?なんか、油が浮いてる
油っぽいっていうわけじゃないのですが、なんというか、油膜・・・?
牛乳を沸騰させた時にできるような膜が、紅茶の表面に浮かんでいるのです。
しかも軽く揺するとカップの両端にまるで茶渋のようくっつく。
色も、今まで日本で飲んでいた紅茶よりも、どんより黒くて濃い気が・・
カップの水面周りに、茶渋のようなものがついてるの、見えますか?
このカップさっきまで真っ白だったんですよ!それなのにもうまるで
何年も漂白していないかのような着色が一杯でくっきりとついてしまうんです。
この着色、スポンジで力一杯こすれば、スポンジを黒く染めながら
とりあえずは落ちるんです。でも、今まで日本ではなかった現象が、ロンドンで、
このキッチンで、そしてこのティーカップの中で起こっている!
この紅茶が悪いのか、買い貯めていた茶葉が劣化しているせいなのか?
次々と色々な種類の紅茶を買い漁って試してみるも結果は同じ。
アールグレイだろうがアッサムだろうがクリスマスブレンドだろうが
悲しいかなドキドキしながらカップをのぞくとそこには・・・膜が。
悩むこと数日。ようやく気づきました。茶葉は、関係ないのかも・・・と。
ロンドンの紅茶に膜のようなアレが浮かぶワケ
あっ。水か?(ようやく気付く)
ロンドンの多くの地域は、硬水地域。
要はこの硬水と呼ばれる水に含まれる成分と、買い揃えた茶葉たちに含まれている成分が化学反応を起こしてこの膜を作り出すんだとか。
以下、リプトンホームページのQ &Aにまさに私の疑問が載っていました。
Q.紅茶を入れたら、色がいつもより黒くなりました。なぜですか?
A紅茶に含まれるタンニン等の成分は、鉄分と結びつくと黒く色が変化します。
硬度の高い水を使って紅茶をいれている、やかんに含まれる鉄分が溶け出している、等が原因として考えられます。
品質に問題があるわけではないので、お召し上がりいただいても問題ありません。
Q.硬水で紅茶を作ったら、表面に膜のようなものが浮きました。なぜですか?
A紅茶に含まれる紅茶ポリフェノールと水中のカルシウムイオンが結びつくことで、膜が生成されることがあります。
硬度の高い水を使って紅茶をいれること等が原因として考えられます。
品質に問題があるわけではないので、お召し上がりいただいても問題ありません。
リプトンホームページ よくあるご質問 より引用
全ての原因はロンドンの水道水の硬水にあり!
硬水の成分と紅茶の成分が出会った時に、その膜がティーカップの表面に
現れてしまうということなのです。
Q &Aにも書かれている通り、品質に問題があるわけではないので、
飲んでもOK!なのは少し安心ですが・・・
いくら飲んでも問題なくても、気分の問題が解決されないわけで、
もう少しなんとかならないかと模索してみました。
解決策その1:ミルクを入れてみる
入れたて紅茶は綺麗なのにしばらくすると現れるこのふよふよ浮かぶ膜。
理由は硬水の成分と茶葉の成分との反応であるということは上に書いたとおりですが、ミルクを入れると良い、と聞いたので、早速試してみました。
同じお湯の温度と同じカップ、同じ茶葉で淹れた紅茶で実験。
(ちなみに水道水は6層のろ過フィルタージャグでろ過済みの水を使用)
※別記事、水の話に出てくるフィルターです↓↓
カップAはそのままストレート、カップBは牛乳を少し注ぎました。
どうでしょう、違いがわかるでしょうか。
ミルク効果!確かに!フヨフヨ浮かぶ膜が目立たず、つるんとした美味しそうな表面に!
カップへの、茶渋のつき具合も減少するのは嬉しい。
ですが、決して膜が無くなったりするわけではないです(笑)
揺らしてみると何かあるのはわかるのですが、ほとんど目立たなくなるイメージ。
ただ、飲むとき確かに気分が良くなりますね。
解決策その2:硬水用の紅茶を使う!
イギリスのスーパーには、「For HARD WATER」硬水用、と書かれた紅茶が売られています。お馴染みのブランド、YORKUSHIRE TEAといえば、赤いラベルで有名ですが、こちらはグリーンラベルの紅茶です。
硬水地域に住む人々にも、風味や品質の変わらない茶葉の美味しさを味わってほしいという想いから、硬水でこそ引き立つブレンドをということで開発された商品です。
硬水で入れても膜が張らないよと言っているわけではないのは承知の上で、
でもひょっとしたら、何か違いがあるのかも!と淡い期待を胸に、試してみました。
結果は、こちら。先ほどと同じ、沸騰したお湯で同じ茶葉で、淹れてみました。
違いは・・・
若干ですが、いつもよりもつるんとしているかな?という感じでした。
- 色は普通の茶葉がいわゆる紅茶っぽい赤みがかった色なのに対し、硬水用の茶葉はよりもさらに深くて濃い、ぱっと見コーヒーにも見えるような色あいです。
- 味は、普通の茶葉は軽やかでごくごく飲めてしまうのに対し、硬水用の茶葉の方は深みというか渋みがあって、さらに茶葉の香りを楽しめます。
30分以上放置して冷めた後にふとカップを見ると、硬水用の茶葉の方も、うっすら膜ができていました。ただ、風味や味にはしっかり違いがありました。好みにもよると思いますが、茶葉感を楽しみたいときはこちらの方がオススメです。
解決策その3:紅茶は硬水の方が美味しい!と割り切る
もう最後の方法です。ロンドンで飲む紅茶が美味しいわ!と割り切ってしまえば
良いわけですね。
- 紅茶は膜が張ってナンボよ
- 膜があった方が風味がいいわ
- 膜が張らない紅茶は紅茶じゃないのよ!
- ロンドンの紅茶の膜が忘れられなくて日本に帰ってからも硬水でわざわざ膜を張らせて紅茶を飲んでいます
そんな達人たちの話も見聞きしました。
私はいまだに、この膜が嫌です(笑)でもでも、慣れって怖いもので、
この記事を書き始めたときは膜を敵対視していたのに、3ヶ月くらい経った今は、
まぁそんなものかなと思える自分もいます。
膜の張る紅茶も、ロンドンの硬水地域の名物の一つ。そう思って楽しんでしまった方が、良いのかもしれませんね。
ちなみに、イギリス人はソレが気にならなのか聞いてみた
そういえば、近所のイギリス人にこの紅茶の膜について気にならないのか聞いてみたときの反応は、想像通り、うっすいものでした(笑)
「紅茶の膜?え、いや、だから私たちは紅茶に牛乳を入れて飲むのよ!
もう、何も考えずに紅茶と牛乳はセットよね!ミルクティーね!
カップ?は色ついてても汚れてるわけじゃないわよぉ!」
日本では少しこだわって、色々な種類の茶葉を買い揃えたり、
きれいな琥珀色や華やぐ香りを楽しんだりしていましたが・・・
ロンドンではミルクティーを愉しむ機会がグッと増えそうな予感です。
おまけ(個包装のティーバックが欲しい!)
ロンドンのスーパーで売られている紅茶のティーバッグを買って驚いたのは、
薄いパッケージを開けて、箱を開けるといきなりティーバッグ!なところ。
日本でリプトンなどの紅茶を買うと、必ず紙の包みや何かしらに一つ一つ包まれているじゃないですか、あれが、ないんですよね。
開けるといきなり剥き出し裸のティーバッグ。
最近は慣れてしまいましたが、最初のころは少しこだわって、ちゃんと個包装になっているものを買ったりしていました。剥き出しなので、風味が落ちてしまう気がして。
色々買ってみた茶葉たち&おいしかった紅茶はこちら。
華やかな香りのアールグレイ
こちらも個包装(笑)で色々試せて◎すごく気に入ったら単体100個入りもありですが最初はこういうのを試した方が安心(という私の個人的な性格)